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マビノギブログ

くまさんサーバーの女帝こと時流さんが持ち前のドSな性格と執念をもってかき乱す物語。とりあえず、お前にレインボー。
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[05/30 相坂 時流]
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2010/11/21
02:23
プロローグ -Bloody berry2-

 王の子はあっさりと見つかった。
王に孕まされ、隠滅するために国を負われた穢れた女は、やがて安住の地を見出し、そこで少女を産み落とした。使用人の生死はそこで途絶えてしまうのだが、それはさしたる問題ではないらしい。問題なのは、産み落とした子が今でも健在で、なおかつ、彼らの要求を受け入れるだけの器量を持った人間であるか、という一点に尽きる。
 正常に健康に育っていれば齢24。王となるには適齢であり、国民は新たなる若い王に狂喜するに違いない。そうすれば乱れつつある民心も落ち着き、この機に乗じて国を乱そうとするかぶき者たちも一掃出来る。すべてが万事解決するに違いない、アウグスタはそう見たのだ。
さっそく早馬を走らせる。馬上の騎士、パーンズワースは乗馬は初めてではなかったがもともと歩兵の出身。憧れだった騎馬に乗せてもらい、走れることに浮き足立っていた。だが王都タラから北限のティルコネイルまでの約5日の強行軍に、さすがに気が滅入り始めていた。馬はこの世界では一番速い乗り物だったはず。それが何故こんなに時間が掛かるのか。

 魔物たちだ。
正常だった動物達。何もしなければ危害は加えなかったのに、今では蹄鉄の音を聞くだけで驚き襲い掛かってくる。切り伏せ、黙らせるのに時間が掛かる敵もいた。そして夜には調子付いたゴブリンやコボルドが闊歩する。彼は決して弱いわけではないが、大群で襲い掛かられれば多勢に無勢、手も足も出ない。エイリフの騎士もここまで堕ちたか。彼は男泣きに泣きながら宿屋で過ごした。そのせいで遅れたなんて恥辱でしかない。彼は任務が失敗した暁には自決しようと考えていた。懐に潜ませている毒針は、イリアからの輸入品だ。沼コブラというとんでもない猛毒を持った蛇から採取した毒を塗りつけ、受ければ一撃で毒が回り死に至る。どっちにしても格好のいい話ではないが、生き恥を晒すならいっそ、可愛がってくれた王に殉死しよう。そうして馬を走らせここまで来た。

目指す、1軒の家の前へと。


------

 「未咲。火を消しなさい」
「え、まだ寝るには早いし…脱ぐのもまだ早いよ」
「黙って火を消せチビ。串焼きにするわよ」
「う」
あたしがいつも背中から下げている赤いドラゴンブレイド。庶民が持てる剣ではない、というのはダンバートンのスチュアート先生の弁。そんなもの知ったことではない。気がついたら家にあって、何気なく使っていたんだから。未咲程度の子なら一撃で串刺しにしてそのまま美味しくいただくことが出来る。でも出来たらベッドの中で美味しくいただきたいから、それはなしにしよう。もとよりする気は更々ないし。
未咲が不満そうにろうそくの明かりを全部消したとき、遠くに響いていた馬蹄の音が止まった。馬を人の家の前につなぐ者が一人。音からして鎧か何かの重武装だ。殺しに来たにしては間抜けすぎるし、何より恨みを買った覚えもなければ礼儀知らずに付きまとわれる理由もない。あたしも有名になったのだろうか。いやきっとそれはない。
『御免!』
ドアを叩く音。
男だ。男に用はないわ。帰れ。それか馬にロープかけて首吊れ。
「トキちゃん、居留守?」
未咲が不思議そうに聞く。
「鎧着た男に殺される理由も追われる理由もないもの。無視」
「うん」
静寂。しかしそれはすぐに破られる。
「ぐっ!」
外で鎧武者が呻く音。何事か。背中の剣を抜き、ドアに向け牙突の姿勢を取る。いつ相手が、そう、鎧武者かそうじゃないかは分からないが、それが突撃してきてもいいように。

バタンッ!
開かれるドア。そして。
「やーやートキ姉!でっかいおでん種が聞き耳立ててたからとっ捕まえたわ!」
「りょーこさん!」
「だからまずはその剣仕舞ってよw」
相手が見知った顔だからもう大丈夫だ。剣を背中の鞘に戻す。そして鎧武者に歩み寄り。
「食いちぎられるのとすべてを白状して犬の餌になるの、どっちがいい?」
「どっちにしろ死ぬじゃないかソレは!」
「黙れ痴漢。ダンバートンの中央広場に似顔絵貼りまくるぞ」
「横暴だ!」
あたしの脅しにもコレだ。よし決めた。全裸で放置プレイしてやろう。
そう心に誓ったとき、騎士の力ががくん、と抜ける。
「!」
「おでん種はまずシメてからアク抜きしないとね」
「どういうおでんよ」
思わず突っ込んでしまったが、口数の減らないこのバカ野郎にどうやら先にりょーこさんがキレてしまったらしい。

新谷りょーこ。彼女もまた独特の人間だ。流浪の剣士だったはずが気がついたらこんなところに流れ着いていたものの、住み心地が良くて今でも居ついているらしい。性格は見てのとおりおおらか。だが剣を握らせればそれはそれは敵にとって『ロクでもないこと』になる。新しくはダンバートンに反乱を起こした盗賊ゴブリン100人のど真ん中に突入し無傷で皆殺し。命乞いをする盗賊ゴブリンの首領の頭を串刺しにしてダンバートンに帰還したことから『串刺し将軍』の異名を持っている。
そんな彼女をキレさせたとなれば。

「人ん家に聞き耳立てて槍なんか構えるなんてふざけた真似して。気分悪いわ」
「くっ!貴殿には関係なかろう!私はこの家の住人に用があるのだ!」
「その住人の知り合いだから穏便に済ませようと思ったけど、首斬られたい?」
だからそんな幅広ナイフを抜かないでよ。地味にそれ痛いんだから。
りょーこさん、目が据わってる。きっとここに来る前に飲んだな。
「まーまーお茶でも飲もうよりょーちん。トキちゃんにも入れるね」
で、マイペースな未咲。でもちゃっかり酔い覚ましのお茶だから空気は読めてる。
「騎士さんもお茶飲んでけー。そしてさっさとおとといきやがれー」
「ムチャクチャな言葉使わないの」
そして、いい加減動きの鈍くなった騎士をイスに放り投げジャーマンしたりょーこさんが彼女の定位置…テーブルのあたしの向かって右手側に座る。騎士はちゃっかり下座。未咲がろうそくとランタンに火をつけると、あたしの左手側に座る。


 「で、用事って何?つまらない内容ならクビ斬りおとしてクソ流し込む」
「トキちゃん下品ー」
いいじゃない。世の中にはそんな性癖の人が
「いないから」
「あ、そう」
話の腰折られた。凄い不愉快。
そんなのよそにりょーこさんが続ける。
「あのね。エイリフの騎士ってのは良く分かるの。でも相手の家に突然現れて、用事があるんだ話を聞け!ってのは横暴でしょ。相手が相手なら斬り殺されても文句は言えないわ」
「…確かに礼を失していた。すまない」
頭を下げるが。
「下げる相手が違う。ここの家主は上座のあの子よ」
「!」
「ではトキール殿とは貴殿か!」
「えぇそうだけど」
普通に返した。リアクションがどうか楽しみ。
「てっきりそっちの銀髪の少女のほうが貴族的だったのに、よもや主がこんな野暮ったい格好の人間とは・・・いやしかし、致し方あるまい。連れて帰るのがわが勤めか」
何さらりと失礼なこと言ってやがるこの騎士。決めた、今斬り捨てる。
剣に手をかけると同時に彼が地面に伏せる。
「何の真似よ」
「おぉ、我が救世主、我が王よ!我らをお導きください!」


気が狂った?
気が狂ってるわね。
よし、食っちゃおう。
3人の意見が一致し、全員武器を抜く。
「ちょwwwww」
「どっかのいけ好かないクソガキみたいなリアクションするな!」
りょーこさんの前で『ちょw』は使っちゃダメよ。イロイロ思い出すらしいから。
「いいから大人しく斬られなさい。ワケのわからない男を生かす義理なんて、あたしには無し」
「だから話を聞いてください!話さえ聞いてくれればいくらでも殴られますから!」
「いいえあたしは斬りたいの」
「死ぬだろソレ!」
バカにつける薬は死しかないのよ。冷静なあたしは剣を振り下ろして…。
「でもこの銀の筒は素敵ね。貰うわ」
「あ、それは!」
…。
中には、紙切れ。
……あたしの住所と氏名と生年月日?
「どういうこと?」
「え?」
「分かったわ!あんたあたしのストーカーでしょ!」
「何故そうなる!」
だって。
「スリーサイズを知りたくて直接聞きに来たとか!」
「バカとしか思えねぇ!」
「バカとはなによバカとは!」
もういい、こいつ斬る。
しかし、その書簡の中に見つけた言葉に、あたしは続く声を失った。
「…カルパッチオ13世の…隠し子?」
「…その通りです、トキール様。お迎えに馳せ参じました。どうか王よ、我らをお導きください」
…。
「この期に及んで今度は女王様プレイ?高いわよ」
「誰だこんなアホの子産んだのwwww」
次の瞬間、鮮血が放物線を描いて壁に命中したのだった。

【後半に続く】


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下書きっぽい何か。でも訂正は基本しないかも。殴り書き。

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