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マビノギブログ

くまさんサーバーの女帝こと時流さんが持ち前のドSな性格と執念をもってかき乱す物語。とりあえず、お前にレインボー。
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2010/11/21
00:55
プロローグ -Bloody berry-

 誰の子かわからないと言われ、延々と知らない大人たちをたらい回しにされた。
カラダを傷つけられ、心もえぐられ、何もかもを否定され。
大人たちに復讐する力もなかったあたしは、ただ蹂躙され、辱められた。
苦しすぎた毎日。
お前はうちの子じゃないんだ。だから住まわせてやる代わりに好きにさせろ。
そんな苦しみがイヤで、ある日、あたしは彼の首を斬り落とした。

 目を覚ますと、そこはさっきまでいた世界じゃなくて。
『あなたはソウルストリームを渡ってここに来ました』
目の前にたゆんたゆんおっぱいなお姉さんがいて。
名前なんて覚えてなかった。
ココに来るのに何があったかなんて知る訳がなかった。
でも。
ただ温かくて、あたしは。


『とりあえず、揉ませて』


杖がヒットするのに、そう時間は掛からなかった。
攻撃速度重視の杖なんてずるいわ、このきょぬー。
そしてまた目を覚ますと、そこは。


------聖歴1618年、どこにでもある辺鄙な村、ティルコネイル。


 「トキちゃん、お茶入ったよー」
コトッ。目の前に置かれるお気に入りのステンレスのコップ。
無論中身は紅茶だ。誰がなんと言おうと紅茶だ。ブリフネウイスキー入りの。
「妙な飲み方するよね」
「んなことはないわよ。誰でもすること」
「あるあr…ねーよ」
そういって目の前のシルバーブロンドのチビは、猫のカップから紅茶を一口。
「やけどした」
「知らないわ」
これもまたいつものこと。無理して飲むからだ。
少し水を足すように促すと、彼女は水がめから水を少し掬い、紅茶に入れる。
「うすーい」
「猫舌のあんたが無理するよりマシでしょ?」
「うー」
そんなやりとりも、いつものこと。

 いつからだろう。こんな世界にいたのは。
気がつけばこのチビ…一条未咲と一緒に世界中をめぐる冒険に出て、思い出したようにこの村に帰ってきては休養をとり、また旅に出る生活の連続。個人としてはそれで十分満たされているし、発見に次ぐ発見の毎日に苦痛など感じるはずがない。むしろ感じている暇がない。
「イノシシが食べたいからって高原イノシシに短剣で挑むバカなんて初めてよ」
「いいじゃん。短剣をバカにするなー」
未咲もまた、孤独な少女だった。
孤独というか、ただの変わり者。基本個人行動、気が向いたときだけ猫のように擦り寄ってくる。餌をあげれば懐くし、何もしないとどっか行ってしまう。でもあたしはと言うと、別に引き止めることもしないし、投げ飛ばすこともしない。放っておけば帰って来るのは分かってたし、向こうから寂しくなって擦り寄ってくることは誰よりも分かっているつもりだから。
そんなこのチビは、外見に似合わず好奇心旺盛だ。昨日なんかティルコネイルの帰り道で高原イノシシに出くわし『餌発見、ただちに採取する』と短剣片手に猛突進。そのままカウンターされて吹っ飛ばされている。
「でもその後スマッシュで爆砕しちゃったよね」
「内臓で服がドロドロだったわ…」
想像したいヤツだけ、想像すればいいさ。
えぇそうよ。カリスがはらわたで(以下略


----その頃、ティルコネイル近郊。

 急がねば。
騎士が馬を駆り、平原を駆け巡る。
手には白銀の槍、腰には厳しい剣、鎧は良く磨かれていて、鷹より鋭い目は、その者がどのような人間であるかを端的に証明していた。鎧のクレスト(紋章)は狼。そう、彼は天下に名高い『エイリフ王国府親衛隊』の一員である。王城の防衛、独自判断による防衛戦闘や先制攻撃、あらゆる特権が与えられる代わり、任務の失敗は即ち即座に死。厳格なる軍規の下に戦う精鋭たち。
 だがその精鋭が何故このような辺鄙な村に現れるか。侵略行動だろうか。もともとこの地は勇敢な戦士達を大勢産んだ村でもある。村長のダンカンもかつては名の売れた戦士だったと聞くし、学校の指導者レイナルドは現役で狼の群れを相手にしてもひるまない。しかしこれだけでは侵略の理由に繋がるわけもなく、老兵のダンカンは言わずもがな、レイナルド程度の戦士なら都会に出れば大勢スカウト出来る。つまり、侵略ではないことになる。

 では何故。
その答えは、彼が握る書簡にあった。

 エイリフ王国第8代国王、カルパッチオ13世。
歴代エイリフ王国指導者の中で早くに物流の重要性と、市場流通による通貨獲得こそが国内の経済をより潤沢に出来るという理想の下、軍事より経済を最重要視した名君と名高い彼が、先日崩御した。
もともと体の強い方ではなかった上に老齢。そして。
ポウォール、世界を脅かす謎の集団。彼らが『影の世界』と呼ばれる平行した世界で秩序を乱す行動を取り始めたことも、彼の心労をより強くした。彼には軍事のスキルはなく、もともと人材に乏しいエイリフ王国は、やがて影世界で劣勢に立たされる。そして領土の一部、タルティーンにおいて派遣軍の総司令だったファロンが行方不明になり、全軍の指揮が大いに下がる中、老人の役目は終わったと悟った彼は、静かにその生涯を終えた。

 だが問題はこの後に起こる。
彼の本来の嫡男であったボンゴレ6世は、父親譲りの体の弱さのため10歳で夭折しており、彼には子はなかった。彼の死後、王国がどうなるのかなど誰にも分からず終い。彼の妻フィトチーネ妃も既にこの世にはなく、事実上王家断絶の状態であった。法王庁は頭を悩ませると同時に、大規模な軍資金と私設軍、拠点を手に入れ、エイリフ王国を教皇領とすることに意欲的になる。幸いタルティーンを統治しているアウグスタ1世がカルパッチオの妹にあたり、彼女がエイリフの首都タラに拠点を移して同時統治を行ってはいるものの、タルティーンの影世界防衛は重要課題でもあり、長期間都市を空けるわけにはいかない。


そこで彼女は断を下した。
『王の火遊びで孕んだ使用人がいたはず』
『その女が産み落とした子を探し、王に迎えなさい』
貴族達は非難する。
『王の血を引いていても所詮は下賎の娘!王家が穢れますぞ!』
『そうです!今こそ外部からの血を取り入れ、王家再興を行うとき!』
『民心が安定するわけがありません!どうぞお考え直しください!』
みな、王家の利権が欲しかった。
何もせず舞い込んできたチャンス、これに乗らない手はない。王族となり、広大な領土と強力な軍隊の支配権が確立できれば、まだ未開の地である『イリア』にも進軍できる。『ウルラ』はもとよりエイリフが最大勢力だが、誰にも遠慮せず侵略が行える。まだ信服していない連中は多い。イメンマハ、ダンバートン、ティルコネイル、バンホール、数えればきりがないほど。

 しかしアウグスタはひるまない。
貴族を一喝し、告げる。
『王の血を絶やすことは、灯火に油を足さぬと同じこと』
『油を足さぬ手はこの世界にはいらぬ。斬り落とされたくなければ黙れ』
恫喝。しかし親衛隊が剣を抜く様を見たとき、貴族も身震いし、結局アウグスタの意見は認められ、さっそくその血を持つ女を捜すことが決まったのだった。

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