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マビノギブログ

くまさんサーバーの女帝こと時流さんが持ち前のドSな性格と執念をもってかき乱す物語。とりあえず、お前にレインボー。
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2012/05/30
13:43
侍女長の日記 -6

 戦争が始まるというのに、国内は静かなものだ。
むしろ、それに狂喜乱舞しているきらいがあるのも恐ろしい。
出征兵士を見送る列。エイリフ国軍精鋭の第1師団から引抜を受けた新編成部隊、
第15近衛擲弾兵連隊1600名が最前線に出動するという。
最新鋭の銃器、ミニエー銃と、滑空砲、各種攻城兵器と、それを牽引する、錬金術を
利用した牽引装甲車。国民の多くが、見たこともない最新鋭兵器に、エイリフの勝利を確信した。

 さて、前線の状況も次第に遷移していく中、ついに軍事衝突が発生する。
アブネア地域を完全に掌握した我が国軍は、ついに尖兵隊をダンバートン郊外、
アップルフィールド(後のダンバートン演習場)に展開。交戦命令が下るまでジリジリと前進する
部隊に恐慌した敵方の新兵が国軍に対し矢を発射。ここに戦闘が勃発した。
第506連隊に交代して第501連隊1500名が前線で防御戦闘を開始した。
1215時のことだった。

 敵は義勇軍600人、ただしすぐに増援が駆けつけ、2500人の大兵力になる。
兵力差は1000名、ただ、装備があまりに大きすぎた。
第501連隊は、重野戦砲を装備する特科連隊。装備は最新鋭のミニエーでこそないものの、
ゲベールを全員が装備しており、弓矢や刀剣のみの義勇軍とはあまりに戦力が違いすぎた。
1230時、前線に重野戦砲弾が次々に着弾開始。塹壕ではなく前線の木などを遮蔽物に
していた義勇軍はたちまち木もろとも粉砕され、はらわたをぶち撒け始める。
砲撃が止むと、たちまちゲベールを持った歩兵部隊が躍進。義勇軍は軽鎧もろとも心臓や
腹を撃ち抜かれ絶命。
1356時、右左翼とも前線の敵部隊を包囲完了し、虐殺を開始。
降伏は一切受け入れられず、2500名のうち2489名が殺害された。
重傷を負った11名は捕虜として捕らえられ後送。虐殺を完了した部隊は、銃剣で口を
強引にこじ開け、金歯などを無理矢理引っこ抜く。死体だ、情けをかける必要もない。
こちら側の戦死者は18名。すぐに埋葬が行われ、遺品は新造される『英雄美術館』に
展示されることが内示された。

 1600時、半要塞化されたダンバートンからの砲撃が始まるも、射程外のため着弾せず。
部隊は徐々に間隙を詰め、塹壕を掘り、敵の襲撃に備え始める。
1905時、出征した第15近衛擲弾兵連隊が前線に到着。
作戦会議に取り掛かる。
それに同行していたトキール公は、前線を慰労。士気が上昇する。

 軍議では現時点で彼我兵力差は倍であるものの、敵は所詮寄せ集めの雑兵。
圧倒的な敗北を見せ付けてやれば敗走するのは自明の理として、義勇軍敗走後の
包囲戦に重点を置くことが再度確認された。
その間も戦闘は続く。
2142時には、義勇軍の中でもギャラに釣られた夜襲斬り込み部隊200名が殺到するも、
擲弾兵の最新鋭兵器、ミニエー銃が火を噴き、軽鎧の上から次々被弾し絶命。
元々連射速度が従来のゲベールの倍といわれるミニエーだ。恐慌し敗走する敵部隊も
ミニエー銃が容赦なく洗礼を浴びせ、200名のうち140名が戦死。残りは深手を負って逃げる
途中に出血多量で死ぬもの、降伏しようとしたところを脳天を撃ち抜かれ絶命するもの
数多あり、戦闘終了後結局ダンバートンに逃げ帰ったのは20名足らず。戦闘はたったの15分で
大勢が決してしまった。

 ダンバートン領主デトワイラーから『今兵を引けば追撃もしないし、駐屯も許す!』と
負け惜しみなのか命乞いなのかよく分からない手紙が届くも破り捨てられ、軍使は斬殺される。
付き添ってきた使い走りにこちらからの返答を持たせる。

『今更の命乞いは聞かぬ。こちらが望むのは圧倒的にして絶対的な勝利のみ』

 交渉は決裂。
デトワイラーは更なる義勇軍の増援をと考え、ダンバートン内に住む14歳以上の男性を
すべて強制徴用。雑多な武器を持たせて戦いに送り出すことを決めた。
また、トキール暗殺に成功した者はこの世のありとあらゆる財宝をくれてやると宣言。
しかし、目の前で圧倒的な火力差を見せ付けられ、進軍するものなど皆無。
義勇軍1000名が半ば強引に出撃させられたが、帰還したものは僅かに6名。
その6名も腕や足、片目をなくすなど、半端ではない怪我をしており、要塞内の指揮は低下。
脱走が相次ぎ始める。
そして、ダンバートン戦最初で最後の大規模野戦が迫っていた。

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2012/05/29
12:22
侍女長の日記 -5

 ダンバートン。
古くからティルコネイル、タルティーン、イメンマハ、カブ港、そしてバンホールと、
あらゆるところの起点となる都市。そして古より商業都市として栄えていた。
ただ…現在の統治者マックス"フュルスト"デトワイラーの治世…治世もおこがましいが…。
そのときに商人ギルドが成立し、高いみかじめ料を払いながらの商売に、純血の
商人以外は商いが立ち行かなくなり、次々に離れ始めていた。
が、かえってそれが商業都市として、半端者の商いを文字通り不可能にしたのも事実。
持てるものだけが夢を掴める、そんな街になったのだ。

 しかし。
トキール公はそんなダンバートンをよく思っていなかった。
タルティーン制圧後、軍部隊はネア湖近辺、アブネアに駐屯地を設立。
元々ダンバートンには平和的な解決策として、先の余計なマネ、所謂自称義勇軍を
領内に放って狼藉を働いたことを帳消しにする代わりに、ダンバートンへの軍の駐留と
補給を許すようにと持ちかけていたが、デトワイラーは激怒しこれを拒否。
義勇軍とは何も関係がない、言いがかりだ!とまで騒ぎ始めた。
もっとも、その時点で既に大半の同志たちは彼を見限っており、徹底した抵抗とやらも
徒手空拳の様相を呈していたが。

 ともあれ彼はエイリフへの反撃の準備を始めた。
トキール暗殺のために反体制派の将軍に接触し、先の暗殺未遂事件。
失敗したとなると国内不穏分子に資金援助を行い、領内で蜂起せよとするも、
計画が未然に察知され、全員縛り首からの斬首。
更には北部国境線で異民族の侵入に備えていたリョーコ大将の元に
『公は貴女が目障りになりこんなところに送ったんだ。そして今まさに殺そうとしている』などと
虚偽の事実を記した手紙と、これまた虚偽の証拠を持って参じたが、リョーコは
『そのようなことを公が考えるわけもない』と一蹴。
なおも縋るその間者の頭を、ツヴァイハンダーで一突き串刺しにし送り返した。
どうやらテトワイラーも彼女たちが義兄弟の契りを結んでいることを知らなかったようだ。

 計略がことごとく失敗に終わると、いよいよ風向きが変わる。
これまでアブネア駐屯地に展開していたエイリフ国軍第2師団第506歩兵連隊の行動が活発化。
タルティーンに向かう商人たちが次々に捕縛され、斬殺だの、街道沿いに磔にされるなど、
残虐な方法を以って処刑されるようになった。
当然商人たちはタルティーンに行きたがらなくなるが、あえて遠回りのルートを取ろうとすると、
もっと凶悪な動物達を相手にしなければならなくなる。
タルティーン銀鉱から産出される上質の銀でこれまで儲けを手にしていたデトワイラー一派には
死活問題になり始めていた。
そこで、護衛の兵士をつけて出動させる。
プレートメイルに身を包んだ兵士達だ、問題ないに違いない。
しかし翌朝、プレートメイルもろとも胴を両断された護衛兵の死体と、あちこちに散らばる
商人たちのバラバラ死体が発見された。
瀕死の重傷で帰ってきた商人の娘が証言した後、すぐに絶命した。
『奴らは夜叉だ!』
『突然髪の色が銀色になり、瞳孔が紅くなり、獣のような力で襲い掛かってくる!』
『剣も護身用の銃も、まして鎧も意味がない。たちまち両断され食い荒らされる!』
デトワイラーは最初何がなんだか分からないのか、仲間を見捨て逃げ帰ってきたこの
汚いメスを宝石だらけの成金趣味な剣で串刺しにして殺した。
だが、側近の中にタラ情勢に詳しいものがおり、その者曰く。

タラでは現在、東方より伝わりし人間に激的な変化をもたらす『ヲチミズ』と呼ばれるものを、
吸血鬼の血などを使い独自に開発している。
それは、人間の筋肉を中心に劇的な変化をもたらし、斬られても瞬時に回復する身体になるという。

 デトワイラーはそれを不老不死の妙薬ではないか!と喜び、
なおの事タラ征服のために、ありったけの金で義勇軍の編成に取りかkる。
金に目のくらんだ義勇軍兵士、15000人。
こちらからもまた、エイリフとの戦いが始まろうとしていた。


 

2012/05/28
00:30
侍女長の日記 -4

 今更、何を憂う事があるか。
私が愛したお嬢様はもういない。アレは獣、哀れな野獣。

 事件は、ある晩餐のときに起こった。
同志を殺され、トキール公を憎む将軍たち、ベルクマン中将を中心とするグループが、
彼女の暗殺を目論んだのだ。
その時彼女は将軍や錬金術師からなる有識者たちと食事をしながら会談中。
そこを愚かにも付けねらったのだ。
運ばれてくる料理。其の中に潜む爆弾。
起爆予定は、お嬢様が蓋を持ち上げた瞬間。
その筈だった。
「…ん」
何かの違和感を感じ、それを不意に蹴る彼女。
蹴ったカートはそのままベルクマンの座る右翼9席目でちょうど停止し。
青ざめる反逆者、直後に投げられる剣。それは中の爆弾を蓋ごと突き破り。
起爆。飛び散る肉片、骨片、ハラワタ。
「やはりそのような考えを持っていたか。有識者が聞いて呆れる。命知らずめ」
その部屋にいた者たちは、計画への加担の有無関係なく瞬時に斬り捨てられ、彼女を除き、
誰もその部屋から出てくることはなかった。私の部下のメイド5人も、巻き添えで斬殺。

 軍部の反体制派粛清はこれまで以上に熾烈と死臭を極めることとなる。
まず、国軍の背骨とまで称された国軍最高司令官、ロルベーア元帥が陵遅刑、それも生きながら
まずは手の指と足の指を一本ずつ切り落とされ、野犬や野良猫に食わせるという残虐な処刑法を
用いた。次第にそれは手足へとエスカレートし、ふくらはぎの肉を切り取って乞食に食わせるなど
激痛で気が狂い、目の前の惨禍で頭が吹き飛ぶような凄惨さの後、気を失ったところを首を刎ね、
この世に永遠の別れを告げさせた。

 また、このロルベーア元帥の家族とその親族三親等以内はすべてその日のうちに捕らえられ、
火あぶりの刑となった。まだ生まれたばかりの娘だけは、と動揺する声があったが、例外なく
首の骨を折り、そのまま焔の中へ放り込まれた。
そして三親等から幸運にも外れた者達も、エイリフ国外への退去を命ぜられ、財産は没収。
フォン=ロルベーア家、ミュンヒハウゼンと並ぶエイリフ最古の貴族は、こうして血塗られた最期を
静かに、厳かに迎えるに至った。

 同様の処刑は国軍参謀本部や国軍諜報部など重要機関に徹底して行われ、人民裁判が
盛んに開催される。最終的に粛清された軍関係者は将官15名、高級将校66名、将校155名、
一般兵卒(下士官兵)580名に登る。中には暗殺計画と知らず上官に脅され参加させられた、
入隊したばかりの16歳の二等兵もおり、これには弁護士もついたが、人民法廷はそれを認めず、
結果として彼は刑場の露と消えた。

 メイドも同様だ。
これを好機とばかりに、お嬢様は総勢120名、一個中隊にも相当するメイドたちの整理に移る。
こと素行不良の者たちは解雇ではなく、戦功を挙げた兵士の妻として払い下げる。
それならまだいい。
そのような処遇に不満を持つメイドはみな縛り首。死ぬくらいならイヤでも結婚するしかない。
こうしてメイドも少数精鋭に変貌していく。
厄介払いが終わる頃、トキール公は新たな侵攻作戦を全軍に布告する。

『逆賊ダンバートンを攻囲せよ。逆賊に死を』

 所謂ダンバートン包囲戦。ウルラ大陸城塞都市包囲戦史上最悪の、餓死率75%を叩き出した、
悪魔のような戦いが始まろうとしていた。

2012/05/26
21:54
侍女長の日記 -3

 そうだ。すべての始まりはあのときだ。
反芻する過去。もう、戻りようのない過去。

 お嬢様が右目をボルトで打ち抜かれたとき。
絶命寸前の彼女に頼まれて宝物庫から強引に持ち出した、あの紅い液体。
じいや曰く『エリクシル』『第5実態』そして『賢者の石』と呼ばれる秘宝。
それがたちまちにして彼女の傷を癒し、そして、力を与えた。
そう。それが錬金術における等価交換を打ち破るものだと知ったのは、後のことだ。

 強化人間(ブーステッドマン)。
その言葉が相応しいかもしれない。
「で、女子供も皆殺しにせよという命令が履行されていない。どういうことだ」
横一列に並ぶ将帥たち。みな、タラより南西で勃発した移民の無届けデモを鎮圧してきた。
デモの原因は愚かにも衣食住と医療の保障を求める、移民らしいといえば移民らしい行動。
それを徹底した殺戮を以って排除し、文句があるなら出て行くことを促進するような惨劇に
仕上げて来いという命令を受けていた。
「はっ!しかしながら申し上げます!武人たるもの女子供には」
言葉は続かない。
いつ鞘から抜き放ったか見えなかったが、トキール公が手を少し動かした刹那。
ロートマン少将の眉間から後頭部が突き抜かれ、血と脳漿を噴き出して斃れる。
「武人の誇り?君主の命にも勝る誇りなどない。愚か者め」
ニヒルな笑みを浮かべ、隣にいたホフマン准将に問う。
「貴様の言い訳は?」
「…」
釈明なし。ただ黙って立ち続ける。
いや、厳密には黙るしかないのだ。
喉笛を、掻き切られて絶命してた。
「ヒトとは脆いものだ。切っ先が触れただけで即死とは。手心など加えたくもない」
悪魔は、命じる。
「死体はバラして野犬にでも食わせればいい。そこの3人は」
シュタイナー中将、グルンヴァルド大佐(連隊長)、エドガー中佐。
「生きたまま皮を剥げ。そのまま塩漬けにして故郷に送り返してやれ」
慟哭。親衛隊がニヤニヤしながら、必死に抵抗する3人を殴打しつつ連行する。
「せいぜい泣き喚け。私を呪いながら死ね。この死ねない体を呪いながら」
「グライム大佐の近衛第1連隊を当該地域の治安維持に宛てる。殲滅戦だ。楽しめ」
「はっ!」
歴戦の近衛第1連隊は血の気の多いことでよく知られている。
家を焼かれ、稼ぎ頭を殺され、路頭に迷う女子供を笑いながら殺すだろう。
そのはらわたを生で噛み千切り、王の勝利を叫ぶだろう。
「所詮移民は移民。エイリフは移民を認めない。住み着けば殺す。それだけだ」
そして彼女は地図を広げ、各所にダーク(ナイフの一種)を突き刺す。
「この箇所は移民のスラム街がある。焼き払い殺し尽くせ。手段は選ばん」
「承知しました。今夜にでも決行します!」
「吉報を待っている」
それだけ言うと、彼女は親衛隊に護られ、執務室を後にした。

 その晩、タルティーン郊外に安住の地を見出したシドスト族(シドスネッター北部の原住民)
コロニーは、同地駐留の第2歩兵師団8500名によって攻囲を受け、住人300人が無残にも
生きたまま焼かれ、滅多撃ちにされ、刺殺斬殺など大方思い付く限りの残虐な方法を以って
屠られた。それとは別に若い女80人あまりが生きたまま連行され兵士達の慰み者にされ、
殺された後タルティーンの外堀に投げ捨てられた。
 その翌日にはタルティーン銀鉱の移民労働者居住区が武装親衛隊の攻撃を受け、
全員が殺害され、はらわたが飛び出したまま、街頭に吊るされた。
移民の一斉移動が始まり、エイリフ領内の移民は一気に数を減らす。
…たった一人の悪魔は、先代、先々代からの問題を、たった1週間で、それも人間を越えた
獣の心を以って、終わらせてしまった。

2012/05/25
00:35
侍女長の日記 -2

 血は、血で償わせろ。
恐ろしいことを仰るお嬢様だ。
それもまた、私のせいなのかもしれないが。

 事の起こりは4日前のことだ。
それは、ほんの些細な、本当に些細な、侍女たちの不満から始まったこと。
『トキール様は戦争ばかり』
『おかげで貴族の皆様も戦時体制、女を侍らせたら粛清されるからって見向きもしない』
『お洒落をしたくてもいい生地はすべて軍需物資で取られた』
『なのにあの女狐ユリアと側近たちはいい服を着ている』
元々衣食住の権利が保障され、貴族の目に留まれば妾や夫人になれる
チャンスだってあるというところから、浮名を立たせたい者も多い。
勿論、純粋な気持ちでお嬢様に仕える者も少なくはないのだが、そんな娘たちが
あまりに多すぎて、正直、自信をもって絶対忠誠を持った組織とは言えない。

 しかし、それがお嬢様の耳に入るのに、そう時間は掛からなかった。
『ミサ、最近どうも私を批判するメイドが多いように見えるが』
一人称があたしから私に変わったとき。
それは、顔にこそ出さないが怒りが腹の底で煮えたぎっている証拠だ。
『…いいえ、少なくとも我が配下のメイドたちは』
それ以上、言葉は続かない。
いつの間に抜刀したか分からない剣が、私の首筋を掠めていた。
ひりひりする。血が漏れ出す。
『偽証は反逆。殺されたいのか?』
『…』
目が、既に怒りがただならぬことを物語っている。
『…』
『偽証・隠蔽は極刑に処す。例えミュンヒハウゼン家ゆかりの血筋でもだ』
『…』
部下を、護らなければならない。
それは、私にしか出来ない。
目をそらさず、でも何も言わない。
そんな事をしていると。

 メイドが一人、斬り伏せられた。
『っっっっ!ひゅー…』
喉笛を、一瞬にして掻き切られていた。
『どうだ。お前が黙っている1分ごとにメイドが一人死ぬというルールにした』
『!』
悪魔だ。悪魔の所業だ。
『おっと、目をそらしても反逆とみなして一人死ぬ』
『んぐはぁぁっ!』
心臓を背中から一突き。ありえない量の血を吐いて、また一人絶命する。
『ランツェ!ホーホラント!』
殺された部下の苗字を半ば絶叫の如く呼ぶが、きっとその声が通じないところに、
彼女らは旅立たされたに違いない。笑いながら足蹴にする悪魔。
『そんな苗字だったか。興味がないから覚えてもいなかった』
そして次の標的に刃を向けたとき。私はたまらず叫んでいた。
『申し上げますッ!一部のメイドたちがお嬢様を愚弄しておりましたッ!』
『その者たちの名は?』
『ッ!』
『残念、ハズレだ』
『んぎゃぁぁぁっ!』
3人目のメイドが、頚動脈を掻き切られて悶え苦しみのた打ち回る。
私を憎悪の目で睨みながら。
その頭蓋を強烈なストンプで踏み付け叩き潰し、絶命に追いやると。
『4人目はルナを斬るか。お前のお気に入りだろう?』
『逆らうものからは奪い尽くす。殺し尽くし、抵抗が無意味と思い知らせる』
そうだ。
片目を失って以来、この人は、そんな人なんだ。
『…申し上げます。ユリア様付きのメイド、シュトゥーテ、ハーゲル、フェアビュレッヘンでございます…』

 かくして彼女らはその日のうちに捕らえられ、兵舎に送られた。
『どうせ殺すつもりなら、先の戦いの功労者達の慰み者にした後に殺せばいい』
しかし、彼女らが兵舎から帰ってくることはなく、激しい輪姦の中で舌を噛み切り絶命するもの、
膣に高濃度のアルコールを流し込まれ急性アル中になり絶命するもの、最後の一人は
強烈な輪姦で廃人同然となり、最期は兵士に試し斬りされ絶命したそうな。
誰が誰かは分からない。あまりに壮絶な陵辱だったので。

 それ以来、トキール公とユリア様に陰口を叩くものはなく、仮にいたとしても私は知らない。
親衛隊が、そんな奴らを片っ端から粛清する。もう、屋敷で血に染まってないところはない。