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マビノギブログ

くまさんサーバーの女帝こと時流さんが持ち前のドSな性格と執念をもってかき乱す物語。とりあえず、お前にレインボー。
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2010/11/21
02:23
プロローグ -Bloody berry2-

 王の子はあっさりと見つかった。
王に孕まされ、隠滅するために国を負われた穢れた女は、やがて安住の地を見出し、そこで少女を産み落とした。使用人の生死はそこで途絶えてしまうのだが、それはさしたる問題ではないらしい。問題なのは、産み落とした子が今でも健在で、なおかつ、彼らの要求を受け入れるだけの器量を持った人間であるか、という一点に尽きる。
 正常に健康に育っていれば齢24。王となるには適齢であり、国民は新たなる若い王に狂喜するに違いない。そうすれば乱れつつある民心も落ち着き、この機に乗じて国を乱そうとするかぶき者たちも一掃出来る。すべてが万事解決するに違いない、アウグスタはそう見たのだ。
さっそく早馬を走らせる。馬上の騎士、パーンズワースは乗馬は初めてではなかったがもともと歩兵の出身。憧れだった騎馬に乗せてもらい、走れることに浮き足立っていた。だが王都タラから北限のティルコネイルまでの約5日の強行軍に、さすがに気が滅入り始めていた。馬はこの世界では一番速い乗り物だったはず。それが何故こんなに時間が掛かるのか。

 魔物たちだ。
正常だった動物達。何もしなければ危害は加えなかったのに、今では蹄鉄の音を聞くだけで驚き襲い掛かってくる。切り伏せ、黙らせるのに時間が掛かる敵もいた。そして夜には調子付いたゴブリンやコボルドが闊歩する。彼は決して弱いわけではないが、大群で襲い掛かられれば多勢に無勢、手も足も出ない。エイリフの騎士もここまで堕ちたか。彼は男泣きに泣きながら宿屋で過ごした。そのせいで遅れたなんて恥辱でしかない。彼は任務が失敗した暁には自決しようと考えていた。懐に潜ませている毒針は、イリアからの輸入品だ。沼コブラというとんでもない猛毒を持った蛇から採取した毒を塗りつけ、受ければ一撃で毒が回り死に至る。どっちにしても格好のいい話ではないが、生き恥を晒すならいっそ、可愛がってくれた王に殉死しよう。そうして馬を走らせここまで来た。

目指す、1軒の家の前へと。


------

 「未咲。火を消しなさい」
「え、まだ寝るには早いし…脱ぐのもまだ早いよ」
「黙って火を消せチビ。串焼きにするわよ」
「う」
あたしがいつも背中から下げている赤いドラゴンブレイド。庶民が持てる剣ではない、というのはダンバートンのスチュアート先生の弁。そんなもの知ったことではない。気がついたら家にあって、何気なく使っていたんだから。未咲程度の子なら一撃で串刺しにしてそのまま美味しくいただくことが出来る。でも出来たらベッドの中で美味しくいただきたいから、それはなしにしよう。もとよりする気は更々ないし。
未咲が不満そうにろうそくの明かりを全部消したとき、遠くに響いていた馬蹄の音が止まった。馬を人の家の前につなぐ者が一人。音からして鎧か何かの重武装だ。殺しに来たにしては間抜けすぎるし、何より恨みを買った覚えもなければ礼儀知らずに付きまとわれる理由もない。あたしも有名になったのだろうか。いやきっとそれはない。
『御免!』
ドアを叩く音。
男だ。男に用はないわ。帰れ。それか馬にロープかけて首吊れ。
「トキちゃん、居留守?」
未咲が不思議そうに聞く。
「鎧着た男に殺される理由も追われる理由もないもの。無視」
「うん」
静寂。しかしそれはすぐに破られる。
「ぐっ!」
外で鎧武者が呻く音。何事か。背中の剣を抜き、ドアに向け牙突の姿勢を取る。いつ相手が、そう、鎧武者かそうじゃないかは分からないが、それが突撃してきてもいいように。

バタンッ!
開かれるドア。そして。
「やーやートキ姉!でっかいおでん種が聞き耳立ててたからとっ捕まえたわ!」
「りょーこさん!」
「だからまずはその剣仕舞ってよw」
相手が見知った顔だからもう大丈夫だ。剣を背中の鞘に戻す。そして鎧武者に歩み寄り。
「食いちぎられるのとすべてを白状して犬の餌になるの、どっちがいい?」
「どっちにしろ死ぬじゃないかソレは!」
「黙れ痴漢。ダンバートンの中央広場に似顔絵貼りまくるぞ」
「横暴だ!」
あたしの脅しにもコレだ。よし決めた。全裸で放置プレイしてやろう。
そう心に誓ったとき、騎士の力ががくん、と抜ける。
「!」
「おでん種はまずシメてからアク抜きしないとね」
「どういうおでんよ」
思わず突っ込んでしまったが、口数の減らないこのバカ野郎にどうやら先にりょーこさんがキレてしまったらしい。

新谷りょーこ。彼女もまた独特の人間だ。流浪の剣士だったはずが気がついたらこんなところに流れ着いていたものの、住み心地が良くて今でも居ついているらしい。性格は見てのとおりおおらか。だが剣を握らせればそれはそれは敵にとって『ロクでもないこと』になる。新しくはダンバートンに反乱を起こした盗賊ゴブリン100人のど真ん中に突入し無傷で皆殺し。命乞いをする盗賊ゴブリンの首領の頭を串刺しにしてダンバートンに帰還したことから『串刺し将軍』の異名を持っている。
そんな彼女をキレさせたとなれば。

「人ん家に聞き耳立てて槍なんか構えるなんてふざけた真似して。気分悪いわ」
「くっ!貴殿には関係なかろう!私はこの家の住人に用があるのだ!」
「その住人の知り合いだから穏便に済ませようと思ったけど、首斬られたい?」
だからそんな幅広ナイフを抜かないでよ。地味にそれ痛いんだから。
りょーこさん、目が据わってる。きっとここに来る前に飲んだな。
「まーまーお茶でも飲もうよりょーちん。トキちゃんにも入れるね」
で、マイペースな未咲。でもちゃっかり酔い覚ましのお茶だから空気は読めてる。
「騎士さんもお茶飲んでけー。そしてさっさとおとといきやがれー」
「ムチャクチャな言葉使わないの」
そして、いい加減動きの鈍くなった騎士をイスに放り投げジャーマンしたりょーこさんが彼女の定位置…テーブルのあたしの向かって右手側に座る。騎士はちゃっかり下座。未咲がろうそくとランタンに火をつけると、あたしの左手側に座る。


 「で、用事って何?つまらない内容ならクビ斬りおとしてクソ流し込む」
「トキちゃん下品ー」
いいじゃない。世の中にはそんな性癖の人が
「いないから」
「あ、そう」
話の腰折られた。凄い不愉快。
そんなのよそにりょーこさんが続ける。
「あのね。エイリフの騎士ってのは良く分かるの。でも相手の家に突然現れて、用事があるんだ話を聞け!ってのは横暴でしょ。相手が相手なら斬り殺されても文句は言えないわ」
「…確かに礼を失していた。すまない」
頭を下げるが。
「下げる相手が違う。ここの家主は上座のあの子よ」
「!」
「ではトキール殿とは貴殿か!」
「えぇそうだけど」
普通に返した。リアクションがどうか楽しみ。
「てっきりそっちの銀髪の少女のほうが貴族的だったのに、よもや主がこんな野暮ったい格好の人間とは・・・いやしかし、致し方あるまい。連れて帰るのがわが勤めか」
何さらりと失礼なこと言ってやがるこの騎士。決めた、今斬り捨てる。
剣に手をかけると同時に彼が地面に伏せる。
「何の真似よ」
「おぉ、我が救世主、我が王よ!我らをお導きください!」


気が狂った?
気が狂ってるわね。
よし、食っちゃおう。
3人の意見が一致し、全員武器を抜く。
「ちょwwwww」
「どっかのいけ好かないクソガキみたいなリアクションするな!」
りょーこさんの前で『ちょw』は使っちゃダメよ。イロイロ思い出すらしいから。
「いいから大人しく斬られなさい。ワケのわからない男を生かす義理なんて、あたしには無し」
「だから話を聞いてください!話さえ聞いてくれればいくらでも殴られますから!」
「いいえあたしは斬りたいの」
「死ぬだろソレ!」
バカにつける薬は死しかないのよ。冷静なあたしは剣を振り下ろして…。
「でもこの銀の筒は素敵ね。貰うわ」
「あ、それは!」
…。
中には、紙切れ。
……あたしの住所と氏名と生年月日?
「どういうこと?」
「え?」
「分かったわ!あんたあたしのストーカーでしょ!」
「何故そうなる!」
だって。
「スリーサイズを知りたくて直接聞きに来たとか!」
「バカとしか思えねぇ!」
「バカとはなによバカとは!」
もういい、こいつ斬る。
しかし、その書簡の中に見つけた言葉に、あたしは続く声を失った。
「…カルパッチオ13世の…隠し子?」
「…その通りです、トキール様。お迎えに馳せ参じました。どうか王よ、我らをお導きください」
…。
「この期に及んで今度は女王様プレイ?高いわよ」
「誰だこんなアホの子産んだのwwww」
次の瞬間、鮮血が放物線を描いて壁に命中したのだった。

【後半に続く】


-----------------------

下書きっぽい何か。でも訂正は基本しないかも。殴り書き。

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2010/11/21
00:55
プロローグ -Bloody berry-

 誰の子かわからないと言われ、延々と知らない大人たちをたらい回しにされた。
カラダを傷つけられ、心もえぐられ、何もかもを否定され。
大人たちに復讐する力もなかったあたしは、ただ蹂躙され、辱められた。
苦しすぎた毎日。
お前はうちの子じゃないんだ。だから住まわせてやる代わりに好きにさせろ。
そんな苦しみがイヤで、ある日、あたしは彼の首を斬り落とした。

 目を覚ますと、そこはさっきまでいた世界じゃなくて。
『あなたはソウルストリームを渡ってここに来ました』
目の前にたゆんたゆんおっぱいなお姉さんがいて。
名前なんて覚えてなかった。
ココに来るのに何があったかなんて知る訳がなかった。
でも。
ただ温かくて、あたしは。


『とりあえず、揉ませて』


杖がヒットするのに、そう時間は掛からなかった。
攻撃速度重視の杖なんてずるいわ、このきょぬー。
そしてまた目を覚ますと、そこは。


------聖歴1618年、どこにでもある辺鄙な村、ティルコネイル。


 「トキちゃん、お茶入ったよー」
コトッ。目の前に置かれるお気に入りのステンレスのコップ。
無論中身は紅茶だ。誰がなんと言おうと紅茶だ。ブリフネウイスキー入りの。
「妙な飲み方するよね」
「んなことはないわよ。誰でもすること」
「あるあr…ねーよ」
そういって目の前のシルバーブロンドのチビは、猫のカップから紅茶を一口。
「やけどした」
「知らないわ」
これもまたいつものこと。無理して飲むからだ。
少し水を足すように促すと、彼女は水がめから水を少し掬い、紅茶に入れる。
「うすーい」
「猫舌のあんたが無理するよりマシでしょ?」
「うー」
そんなやりとりも、いつものこと。

 いつからだろう。こんな世界にいたのは。
気がつけばこのチビ…一条未咲と一緒に世界中をめぐる冒険に出て、思い出したようにこの村に帰ってきては休養をとり、また旅に出る生活の連続。個人としてはそれで十分満たされているし、発見に次ぐ発見の毎日に苦痛など感じるはずがない。むしろ感じている暇がない。
「イノシシが食べたいからって高原イノシシに短剣で挑むバカなんて初めてよ」
「いいじゃん。短剣をバカにするなー」
未咲もまた、孤独な少女だった。
孤独というか、ただの変わり者。基本個人行動、気が向いたときだけ猫のように擦り寄ってくる。餌をあげれば懐くし、何もしないとどっか行ってしまう。でもあたしはと言うと、別に引き止めることもしないし、投げ飛ばすこともしない。放っておけば帰って来るのは分かってたし、向こうから寂しくなって擦り寄ってくることは誰よりも分かっているつもりだから。
そんなこのチビは、外見に似合わず好奇心旺盛だ。昨日なんかティルコネイルの帰り道で高原イノシシに出くわし『餌発見、ただちに採取する』と短剣片手に猛突進。そのままカウンターされて吹っ飛ばされている。
「でもその後スマッシュで爆砕しちゃったよね」
「内臓で服がドロドロだったわ…」
想像したいヤツだけ、想像すればいいさ。
えぇそうよ。カリスがはらわたで(以下略


----その頃、ティルコネイル近郊。

 急がねば。
騎士が馬を駆り、平原を駆け巡る。
手には白銀の槍、腰には厳しい剣、鎧は良く磨かれていて、鷹より鋭い目は、その者がどのような人間であるかを端的に証明していた。鎧のクレスト(紋章)は狼。そう、彼は天下に名高い『エイリフ王国府親衛隊』の一員である。王城の防衛、独自判断による防衛戦闘や先制攻撃、あらゆる特権が与えられる代わり、任務の失敗は即ち即座に死。厳格なる軍規の下に戦う精鋭たち。
 だがその精鋭が何故このような辺鄙な村に現れるか。侵略行動だろうか。もともとこの地は勇敢な戦士達を大勢産んだ村でもある。村長のダンカンもかつては名の売れた戦士だったと聞くし、学校の指導者レイナルドは現役で狼の群れを相手にしてもひるまない。しかしこれだけでは侵略の理由に繋がるわけもなく、老兵のダンカンは言わずもがな、レイナルド程度の戦士なら都会に出れば大勢スカウト出来る。つまり、侵略ではないことになる。

 では何故。
その答えは、彼が握る書簡にあった。

 エイリフ王国第8代国王、カルパッチオ13世。
歴代エイリフ王国指導者の中で早くに物流の重要性と、市場流通による通貨獲得こそが国内の経済をより潤沢に出来るという理想の下、軍事より経済を最重要視した名君と名高い彼が、先日崩御した。
もともと体の強い方ではなかった上に老齢。そして。
ポウォール、世界を脅かす謎の集団。彼らが『影の世界』と呼ばれる平行した世界で秩序を乱す行動を取り始めたことも、彼の心労をより強くした。彼には軍事のスキルはなく、もともと人材に乏しいエイリフ王国は、やがて影世界で劣勢に立たされる。そして領土の一部、タルティーンにおいて派遣軍の総司令だったファロンが行方不明になり、全軍の指揮が大いに下がる中、老人の役目は終わったと悟った彼は、静かにその生涯を終えた。

 だが問題はこの後に起こる。
彼の本来の嫡男であったボンゴレ6世は、父親譲りの体の弱さのため10歳で夭折しており、彼には子はなかった。彼の死後、王国がどうなるのかなど誰にも分からず終い。彼の妻フィトチーネ妃も既にこの世にはなく、事実上王家断絶の状態であった。法王庁は頭を悩ませると同時に、大規模な軍資金と私設軍、拠点を手に入れ、エイリフ王国を教皇領とすることに意欲的になる。幸いタルティーンを統治しているアウグスタ1世がカルパッチオの妹にあたり、彼女がエイリフの首都タラに拠点を移して同時統治を行ってはいるものの、タルティーンの影世界防衛は重要課題でもあり、長期間都市を空けるわけにはいかない。


そこで彼女は断を下した。
『王の火遊びで孕んだ使用人がいたはず』
『その女が産み落とした子を探し、王に迎えなさい』
貴族達は非難する。
『王の血を引いていても所詮は下賎の娘!王家が穢れますぞ!』
『そうです!今こそ外部からの血を取り入れ、王家再興を行うとき!』
『民心が安定するわけがありません!どうぞお考え直しください!』
みな、王家の利権が欲しかった。
何もせず舞い込んできたチャンス、これに乗らない手はない。王族となり、広大な領土と強力な軍隊の支配権が確立できれば、まだ未開の地である『イリア』にも進軍できる。『ウルラ』はもとよりエイリフが最大勢力だが、誰にも遠慮せず侵略が行える。まだ信服していない連中は多い。イメンマハ、ダンバートン、ティルコネイル、バンホール、数えればきりがないほど。

 しかしアウグスタはひるまない。
貴族を一喝し、告げる。
『王の血を絶やすことは、灯火に油を足さぬと同じこと』
『油を足さぬ手はこの世界にはいらぬ。斬り落とされたくなければ黙れ』
恫喝。しかし親衛隊が剣を抜く様を見たとき、貴族も身震いし、結局アウグスタの意見は認められ、さっそくその血を持つ女を捜すことが決まったのだった。